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アスベスト(石綿)が、悪性の肺中皮腫(がん)の原因であることは、厚生労働省の調査でもはっきりしています。ここ数年、アスベスト工場で働いていた人が、作業中に、髪の毛の1,000分の1の細かさといわれるアスベストを吸い込み、20〜30年後にがんで亡くなっていく例が、全国各地で報告され、大問題になっています。ごく最近では、工場の近くに住んでいた住民の中からも、同様の事例のあることがわかり、政府でも、「公害問題」として、真剣に取り組み始めています。
アスベストは、断熱性や防音性、耐久性にすぐれた夢の素材として、昭和30年代から建材にも盛んに使われるようになり、瓦にもセメントと混ぜてスレート瓦として、たくさん使われてきました。安くて長持ちというのがセールスポイントでした。国土交通省の調査によると、アスベストが禁止された数年前までに、その数は、日本全国で500万戸に達するといわれています。途中、増改築やリフォームなどで他の屋根材に転換したとされる約100万戸を差し引いても、400万戸が、石綿スレートを使った屋根が残されていることになります。
家の中の壁材の吹き付けや屋根裏の断熱材が、健康に大きな影響を及ぼすことは確かですが、セメントに、アスベストを混入したスレート瓦が、がんの原因になるかどうかが、現在全くわかっていません。アスベストの被害は、たばこの煙の粒子と同じくらい小さな繊維が空気中に浮遊し、それが肺の中に入って病気を引き起こすところまではわかっていますが、スレート瓦が永年の間に劣化して、そこからアスベスト粒子が周囲に飛散するかどうかは、確認されていませんが、様々な研究機関が調査しています。 また、壁に吹き付けられたアスベストを、日曜大工気分で、自分ではがしたりすることは絶対に止めて下さい。むしろそのほうが危険です。
アスベストが含まれた屋根材を撤去する際は、アスベストが飛散しないよう、しっかり養生する必要があります。またアスベストが含まれた屋根材の上に新たな屋根材を施工(古い屋根材をカバーする工法)する際も同様ですが、釘うちのときに飛散させない道具が開発されています。
なお、三州瓦に代表される粘土瓦(陶器瓦)には、こうした心配はいっさいありませんので、新築はもちろん、増改築・リフォームの際は、ぜひとも三州瓦に転換してください。
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