三河木綿ともご縁のあった三州瓦
西三河地方の古くから知られた産業といえば、瓦のほかに木綿があります(こちらは何故か「三州木綿」とは呼ばず「三河木綿」の名で親しまれています)。歴史としては木綿の方が古くから産業化し、国産の木綿が用いられるようになったごく初期の16世紀の初頭から、文献にも「三川木綿」あるいは「三河木綿」という文字が見られます。瓦用の粘土の豊富な土地では稲作には適さないので、綿を栽培するようになり、それが一大産業になったのでしょう。
瓦と木綿。一見なんの関係もなさそうな産業ですが、両方の名産地である三州ではこの2つを結ぶものがあります。「おさえ瓦」という瓦です。
多くの農家では、採れた綿花から女性が糸を紡(つむ)ぎました。このとき糸車を使いますが、これは作業が少しでも楽にできるように、とても軽くできています。ところが軽いとちょっと困ることがあります。それは車を回すと糸車全体がぐらぐらしてしまうことです。そこで安定させるための重しが必要になります。三州の女性たちはこの重しに瓦を使いました。これが「おさえ瓦」。サイズは色々ですが平均的なところで、長さ25p、幅15p、厚さ4pくらい、表面にはたいてい美しい模様や家紋が刻まれています。
昔は高浜や碧南の農家ならどこにでもあったそうで、女性たちにとって大切な嫁入り道具の一つだったともいいます。ただの石でもすませられる重しに瓦を使い、しかもそれに飾りの模様や家紋を入れて美術品にしてしまう。そんな女性たちの手で紡がれ織られたものだからこそ、三河木綿は高品質な木綿として全国的に名高いものになったのでしょう。
おさえ瓦
おさえ瓦
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